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こよみとしては、1年を12ケ月とし、それらの各月に29日(小の月と呼ぶ)と30日(大の月と呼ぶ)を適切に割り振りして、1年を354日ないし355日としています。
しかしながら、これだと太陽の1年の長さ365.2422日に10日程足りなくなり、次第に季節がズレて来るので、やむなく時折(19年に7回)「うるう月」なるものを入れ、1年を13ケ月にして太陽の動き(季節)に合わせるように調整しました。これが明治の始めまで使用してきた大陰太陽暦、天保暦と呼ばれるものでした。グレゴリオ暦の新暦に対して旧暦と浮んでいます。
3 旧暦から新暦へ
時の明治政府は、明治5年、師走も間近、11月になって突然「来月の明治5年12月3日を、新しい暦により、明治6年1月1日とする。」という発表をしました。
西洋の近代的な精度の良い暦(新暦)を取り入れたのです。
しかし、この突然の改暦には、もう一つ別の理由がありました。
来る明治6年は、うるう月6月があり一年が13ケ月ある年に当たっていました。
そこで、新暦にしてしまえば、来月12月分と来年のうるう月6月分、合わせて2ケ月分の役人の給料を支払わないですむという、当時財政難で苦しんでいた新生明治政府の思惑があったようです。
4 旧暦の計算
旧暦は、天文観測によって求められた真の新月(朔)を月の第1日目とし、次の新月まで1日ずつ経過していくこよみです。
この旧暦の日付を求める略算式(時によって一日の誤差があります。)を紹介しましょう。
先ず月齢(新月を0として、1日ずつ増えていく日数)を求めます。
月齢日=(西暦年−1990)×11+月+日+2…(1)
但し、月が1月、2月の時は、更に2を加える。そして、計算した結果が30以上になったら30の倍数を引く。
よって、
旧暦の日にち日=月齢+1日…(2)
【計算例】
1996年9月27日は、(1)式より、
月齢=6×11+9+27+2→104−130×30=14
(2)式より、旧暦の日にち=14+1=15日となります。
つまり、この日は、一五夜お月さんで、月は旧暦8月ですので、この日はいわゆる「仲秋の名月」になります。
5 旧暦と潮汐
旧暦がわかると、前回紹介したように潮汐の潮名がわかります。
例えば一日は、新月で大潮、8日は上限の月で小潮というように潮の概略がわかります。さて、その日は、何時頃満潮になるのかを知りたいことがあります。
昔から、旧暦の日にちに対して潮汐時刻がわかる表がありました。
例えば村上水軍の家伝書の中「潮時考之事」にその記述があります。
この表を作成するに当たって潮汐の性質を知らなければなりません。
6 満汐の一般的な性質
(1)満潮から満潮まで、又は干潮から干潮までの時間は、平均して12時間24分です。従って、24時間48分間に2回の満潮及び干潮があります。
(2)よって、満千潮時刻は、平均して毎日48分ずつ遅れます。
(3)満潮と干潮の間の時間は、平均して6時間12分です。
(4)半月を隔たった日の潮汐は、略同様で潮時も潮高も大して差がありません。
(5)半年を隔たった月齢の略同一な日の潮汐は、午前と午後が交換された。形になります。
(6)1年を隔たった月齢の略同一な日の潮汐も互いによく類似しています。
7 現代版満干潮時刻表
以上、潮汐の性質を利用して、広島における旧暦の日にちに対する満潮、干潮の時刻表を作成してみました。(表1、表2)
8 最後に
この満・干潮時刻表は、広島での平均的な値です。
時によって、1時間程度の誤差が生じます。
しかし、潮の概略を知るには便利な表です。
潮干狩りや釣りなどのレジャーに活用下さい。
また、正確な潮汐を知りたいときは、海上保安庁発行の「潮汐表」を利用するとよろしいでしょう。

 

 

 

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